・ノクシカタ刺繍

□バングラディシュ女性の手仕事

ノクシカタは、ベンガル地方の伝統的な刺しゅうです。もともとは着古されたサリー(女性用の一枚布でできた衣装)やルンギ(男性の筒状の布の衣装)を3〜4層に重ね合わせ、密な刺し子を施して冬用の布団やベッドカバーなどに再利用するために生まれた実用的な技術です。


特徴は様々な色でモチーフの刺しゅうを中央、四隅、縁の順で施していき、その後に布と同じ色の糸で空いた部分をびっしりと縫い込んでいく点にあります。ノクシカタのモチーフにはベンガル地方の女性を取り巻く世界が使われています。

現在でも家庭では母親たちが自分の家族のためにノクシカタを作っています。
その一方で、バングラデシュの独立(1971年)後に貧しい女性の収入向上のための仕事として、ノクシカタの商品作りがNGOによって始まりました。今ではバングラデシュのフェアトレードに欠かせないアイテムとなっています。


<モチーフ紹介>

生命の樹…アジアの広い地域で好まれるモチーフで、ノクシカタでは四隅から中央に向かって伸びるように表現されています。その幹は天と地を結び、あらゆる生命が寄り集う楽園を象徴すると言われます。同時に誕生、成長、死、再生という生命の循環や多産の能力も意味しています。


…舟が行きかうバングラデシュでは、舟は旅立ちを表し、愛する夫や息子の旅の無事への願いが込められています。


…バングラデシュでは河魚がよく食べられ、魚は身近なものです。また、多くの息子が産まれ育つことが望まれていたため、多産の象徴としても人気があります。

…様々な意味を持っているモチーフです。まず、生命の力、その生命の母体である女性の力を象徴していると言われます。また、アジアの中では仏や神の台座であることから極楽浄土の世界と結びつけても考えられます。

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