・スパイスにまつわるお話

□スパイス〜香りに魅了されてきた人々〜


 古来より人類に親しまれ、世界の人々を魅了してきたスパイス。
古代エジプトでは防腐・防虫剤としてミイラ作りに、また、各地の寺院や教会では焚いて空気を清めるなど、様々な用途で使われてきました。

 熱帯アジアが主産地のシナモン、カルダモン、クローブ、ナツメグなどのスパイスは、アラビアの商人たちによって、約2年もかけてシルクロードを通り、アラビアや西洋へと運ばれました。
肉類が料理の中心だった西洋では、強い香りを持つスパイスは欠かせないものとなり、時に金銀にも匹敵するほどに。
やがて、スパイスを求めて東への航路を探る、大航海時代が幕を開けます。
それはまた、「香辛諸国」の支配権をめぐる「スパイス戦争」の始まりとなり、世界中で様々な食材が交差していったのです。

 今では世界中に深く根付いているスパイスは、地域色豊かな各地の食文化を彩っています。
意識しないところでも、私たちの暮らしになくてはならないものとなりました。

 遥か昔、その高貴な香りと高揚に初めて触れた人々の驚きはどれほどだったでしょう。
夢を追いかけて、命がけの旅へと駆り立てられた多くの人たちに思いを馳せると、今の私たちの暮らしが、いかに多くの名もない人々の挑戦の恩恵にあずかっているかと感じずにはいられないのです。

文:三浦 明子さん
第3世界ショップ「夢カタログ Vol.19」より引用

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